リモートワークの家計への影響は?
テレワークという働き方が普及し、自宅で仕事をすることが珍しくもなくなってきました。最近は光熱費の高騰なども話題ですが、テレワークでずっと家にいることで、家計にはどのような変化が見られるのでしょうか。そこで今回は、改めてテレワークが家計に与える影響について、2021年度と最新の調査結果を比べ、その結果について考察してみました。
在宅時間は減っているのになぜ上がる!?
まず、今回は以前と同様に「テレワークによって増えた出費、減った出費はありますか?」というアンケートをテレワーカーの皆さんを対象に実施した結果、下記のような回答となりました。

2022年の結果を2021年のものと比べると交通費と遊行費については「減った」という回答の割合が減少していることがわかります。これは2021年にアンケートを実施した当初は外出することがタブー視されていたような環境であったことから「使いたくても使えない」状況だったからではないかと考えられます。それに対して2022年は制限も徐々に緩和され、人々が外出する機会も増え、交通費や遊行費が増えていったのではないでしょうか。仕事に関しても、出社に戻ったという人もいるでしょう。
しかし、2022年は前年と比べて外出の機会が増えるような状況でありながら、電気代については「増えた」という回答が多く見られます。これは昨今の電力価格高騰の影響により、家にいる時間が減っているにも関わらず、上昇した電気代が家計にダメージを与えていると推測されます。
テレワークは時間の有効活用や生産性の向上などメリットは多いのですが、光熱費の負担が個人にかかってしまう、といったデメリットが浮き彫りになり始めているようです。
燃料費調整額の上限撤廃などが話題にあがっているように、光熱費も年々上がりつつあるなか、テレワーカーにかかる経済的な負担を家庭内だけで解決するには限界があるのではないでしょうか。では、こういった問題に対して雇用者である企業側はどのような対策を取っているのでしょうか。
企業側のサポート体制は?
企業によるテレワーカーのサポート体制を調査するため、テレワーカーを対象に「会社で導入されているテレワークの制度で、あてはまるものをお選びください」というアンケートを実施しました。調査結果は以下の通りです。

企業側がテレワーカーに対して導入しているテレワーク制度を見てみると、Web会議ツール、セキュリティソフト、勤怠管理ツールの導入……などといった必要最低限の制度は、比較的整備されていることがわかります。
一方で、在宅手当の支給は約20%、Wi-fi,インターネットの支給は約17%などの結果から、+αの制度導入に至っているところはまだまだ少ないということが分かります。また、どの制度も導入されていないという回答が19%という結果も出ており、テレワークという概念はあるが整備がほとんど進んでいないような企業も存在しているようです。
企業側はテレワーカーに対する補助の検討が急務か
テレワークが働き方の1つの選択肢となった現在では、以前に比べてテレワーカーの数は増えていますが、今回のアンケート結果からテレワーカーに対する最低限の制度は整備されているものの、コロナ禍の発生から4年弱が経過しているにも関わらず十分に整備されているとは言いにくく、たいていのことは自分で準備しなければならないような状況であると予想されます。テレワークが普及しはじめたときから状況が大きくは変わっていないのかもしれません。
光熱費も年々上がりつつある昨今、金銭的なデメリットといったしわ寄せは個人のところに行ってしまうように見えます。それによって、家計の負担を解消すべく、高い賃金を払ってくれる会社や、テレワーク手当の充実している会社へと転職を考える人も増えることでしょう。テレワークはこれからの社会でひとつの働き方として定着していくことは、間違いありません。人口減少社会において事業成長に必要な人材を確保するためには、優秀なテレワーカーの確保と活用が企業として大きな課題になっていくのではないでしょうか。今のうちにテレワーカーが働きやすい会社の制度を整えることができれば、現在所属しているテレワーカーの成長を促すのはもちろん、社員の満足度や採用においてもプラスになり、結果として今後の会社の成長にもつながっていくのではないかと考えられます。企業の皆様は今より一歩進んだ+αの制度を確立できるよう、ぜひ検討してみてください!